前回、前々回に引き続き6/10の社内研修の内容についてご紹介させていただきます。
今回で社内研修の内容をご紹介するのもラストになります。
最後のテーマは、統合失調症への理解について です。
近年では高齢者施設でも統合失調症の患者さんを受け入れている施設が多くなってきているため、
介護現場で働かれている方々も統合失調症の患者さんと関わる機会が増えていると思います。
ちなみに『叫び』で有名なムンクも統合失調症だったと言われており、
『叫び』のおどろおどろしい世界観は統合失調症の辛さを物語っているように思います。
まずは統合失調症の疫学的な知識からお話ししたいと思います。
発症時期は10代後半から20代にかけてが多く、有病率は1%と言われています。
つまり、1学年100人の学年があるとすると同学年に1人はいる計算になります。
意外と多いですね。
多くは幻聴や妄想から発症していきます。
誰かに命令されたり、実況中継されたりする声がどこからともなく聞こえてきます。
その声と会話するようになることもあるので、はたから見ると、独語や電話しているように見えるのです。
また、その声は悪口やけなす内容であることも多いので、発症した患者さんにとってはとても辛いものなのです。
症状が経過していくと今度は、感情や意欲がわかなくなり、集中力がなくなってぼーっと過ごすようになります。
このように統合失調症は経過によって特徴的な症状が見られます。
では、なぜ統合失調症になってしまうのでしょうか?
現在わかってきているのは、遺伝的な影響によるストレスに対する脆さと、
日常的なストレスが合わさって発症すると言われています。
しかし、実はまだ原因ははっきりとわかっていなく、複雑な要因が絡み合って発症すると考えられています。
このような統合失調症に対して、現在では主に薬物療法が行われています。
幻覚を抑える薬、興奮を抑える薬、不安を抑える薬・・・など症状によって薬を変えていきます。
この薬は症状を抑えているわけですから、服薬をやめてしまうと症状が再発してしまう恐れがあります。
つまり、統合失調症を発症してしまうとずっと薬を飲み続けなければならないのです。
しかも、これらの薬には太りやすくなる、便秘になるなどそれぞれ副作用があり、飲み続けるのもとても大変なのです。
これまでのお話で統合失調症について少しは理解していただけたでしょうか?
それではこのような患者さんに対してどのように関わっていくべきか、考えていきましょう。
一番大事なことは話を聴いてあげることです。
精神科患者さんは基本的に不安を抱えています。
また、イライラしていたり怒っていたりしてもそれには必ず理由があります。
その気持ちに寄り添って話を聴いてあげることがとても大切です。
ポイントとしては態度や声のトーン、話し方に気をつけて、不安を助長しないようにすることです。
怒りを抱えている場合は、その怒りを煽らないことです。
もし怒りの原因を除去できるなら除去し、謝罪するならタイミングを逃さないようにしましょう。
話しかけるタイミングも大切です。
不穏な時期はずっとは続かず、穏やかに戻ります。
穏やかな時に大事な話をするように心がけましょう。
また、相手のパーソナルスペースも侵さないように気を付けましょう。
距離感が近すぎると不安に感じることがあります。
適切な距離を保っていくことが大切です。
家族への対応も大事になります。
家族も精神疾患に巻き込まれて疲弊しています。
まずは家族の方々に労いの言葉をかけていきましょう。
統合失調症の家族の特徴として過度な世話焼きであることが言われています。
家族の方々にも適切な距離感をとってもらうように伝えるとよいです。
統合失調症の患者さんは周囲の人みんなで支えていくことがとても大切なのです。
いかがでしたか?
3回にわたって精神科疾患についてご紹介させていただきました。
精神科疾患の患者さんの理解に役立てていただけたら幸いです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました(@^^)/~~~