介護施設で働いていると、利用者の方に介護を拒否されるといった経験はみなさまもよくあるのではないでしょうか??
利用者の方の思いをくみ取っていく必要がありますが、生活に必要なことであれば拒否されてもやってもらわなければならないこともありますよね。
例えば、食事を拒否し食べなかった場合、栄養のバランスが崩れ体調を崩し、時に命の危険にも関わってしまいます。
今回は食事を拒否された場合の原因や対応方法を考えていきましょう!
まず、利用者の方が食事を拒否してしまう理由として、そもそもお腹が空いてないことが考えられます。
利用者の方はご飯や入浴、排せつの時以外はずっと居室で仮眠を取っている方もいます。
日中の活動量が少なくひとつ前の食事を消化しきれないままご飯の時間になってしまい、
食事を拒否するという結果に繋がります。
そのため、日中の活動量を上げていくことが一つの解決策です。
散歩を促したり、リハビリを行ったりし、体を動かしてもらうことを心がけましょう。
自力で動けず車椅子で過ごされている方であれば、できるだけ起きる時間を長くするだけでも大丈夫です。
他の利用者の方々とお話する時間も増え、活動的な生活に変わっていきます。
食事場所の環境も食欲の低下に関わってきます。
食器やテーブルが清潔に保たれているか、周りに知らない人・慣れない人がいないかなども食欲低下に影響することがよくあります。
食事をとらないことがそのような気になることのサインであることもあるので、注意してみましょう。
また、認知症などによって認知機能が低下すると周りの環境から影響を受けやすくなります。
例えば、音や動くものに対して強く反応するようになってしまいます。
テレビを消したりスタッフもあまり動かず見守り介助に努めるなど、静かな環境を整えるよう心がけましょう。
そもそも食欲はどのようにして起こるのでしょうか?
食欲は脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢によってコントロールされており、
生理的な刺激で起こる食欲と感覚的な刺激で起こる食欲があります。
生理的な刺激とは、血糖値の変動や胃壁の伸縮によるものです。
血糖値は食べ物を食べることで上昇し、満腹中枢に刺激を与え満腹感が生まれ、食欲がなくなります。
消化吸収が進むにつれ、血糖値は低下し、この刺激が摂食中枢に作用し空腹感が生まれ、食欲がわきます。
感覚的刺激とは、五感(視覚・嗅覚・聴覚・触覚・味覚)から受ける刺激のことです。
食欲はこの五感が受けた食べ物の匂い、見た目、食感・舌触り、食べ物を作る音、味覚によって影響します。
食べ物の情報が過去の食事の体験や記憶・知識などによって、おいしい・おいしくないの判断がされます。
その結果、おいしいという判断は摂食中枢に伝わり食欲がわき、おいしくないという判断は満腹中枢に伝わり食欲が起こらなくなるのです。
つまり、過去の食事体験や食事の盛り付けなどが食欲に大きく影響することがわかります。
利用者の方がこれまでどのような食生活をしていたかを知り、その食事に近づけることが食事の拒否が減ります。
食事の盛り付けも利用者の方がおいしそうに思えるような盛り付けを心がけましょう。
また、誤嚥のリスクから刻み食やミキサーで提供していることもあると思います。
その場合は、「主菜」「副菜」「主食」に分けて盛り付けたり、介助者が何を食べるのか説明してあげるなどをして、
より「おいしい」と思ってもらえるように取り組みましょう。
食事拒否にはさまざまな要因が考えられます。
利用者一人ひとりに向き合い、なぜ拒否があるのかを考えていきましょう!